Grope my way


この行為に意味があるのかと尋ねたら、どうでもよさそうに考えるなと答える声ともう幾度目になるのかわからない口付けが降ってきた。
慣れたセックス、知った匂い、組み敷かれて少々乱暴な愛撫に応えればこの男は獣のように悦ぶのだ。それを僕は知っている。知っているから、大柄な身体の下で柄にもなく従服しているというわけだ。本当にらしくない。
教えてくださいよ、と促すように強請ると先輩の手が子どもをあやすみたいにくしゃりと髪を掻き交ぜた。意外、本当に意外としかいえないのだがそれが居心地良くて、だから僕は哀しくなる。アンタは教えてくれない。
僕は……ているのか。
あいされているのか。
認めたくもないと吐き捨てながら、心が欲しいと叫んでいる僕がいる。ふたつの精神を抱えていた頃は当然だと思っていたこの矛盾、ひとつの人格さえ相反する感情を抱えるのだと知って少し意外な気持ちになった。身体が欲しいわけじゃない、ただアンタが僕を見てればいいと思う。欲しいのは視線。心。アンタが僕を 見るのは身体を求める時だから、だから僕はアンタの身体が欲しい。
なんでアンタは身体を重ねたがるんだ。僕は、僕は、アンタの視線が欲しいだけなのに。重ねた口付けから言い訳がましい言葉を感じる。すきだから。あいしているから。僕が視線を欲しがる理由と先輩が身体を欲しがる理由は同じ。
心を交えた先に身体を交える行為があるのか、身体を交えたことで心が交わるのか。
わからない、教えてほしい、誰か。


20050404 12:22 予備校にて
Wolfe × Thomas

露骨な単語だしてごめんなさい。